「朝は食欲がないから、コーヒーだけ」
「朝食はパンとコーヒーで簡単に済ませている」
「健康のために、朝は果物や野菜ジュースだけ」
そんな方も多いのではないでしょうか。
しかし、低血糖や血糖値の乱高下が起こりやすい方にとって、朝食はとても大切です。
朝食の内容によっては、午前中の疲れや眠気、集中力の低下だけでなく、甘い物が欲しくなったり、その後の血糖値が不安定になったりすることがあります。
今回からの「低血糖・実践編」では、これまでの低血糖シリーズでお伝えしてきた内容を、実際の生活でどう取り入れればよいのかという視点からお話ししていきます。
まず今回は、低血糖対策で特に大切な「朝食」についてです。
なぜ低血糖対策では朝食が大切なの?
夕食を食べてから朝食まで、私たちは長い時間、食事を摂らずに過ごします。
睡眠中も脳や心臓などは働いているため、エネルギーは使われ続けています。
そのため朝は、一日の中でも長い空腹時間のあとに食事を摂るタイミングになります。
ここで朝食を抜いたり、糖質に偏った朝食を摂ったりすると、人によっては血糖値が不安定になりやすくなります。
特に、
- 朝起きても疲れが取れていない
- 午前中にだるさや眠気がある
- 空腹になるとイライラする
- 昼食前になると甘い物が欲しくなる
- 集中力が続かない
- 朝に頭痛や腰痛などの不調が出やすい
という方は、朝食の摂り方を一度見直してみてもよいかもしれません。
もちろん、これらの症状がすべて低血糖によるものとは限りませんが、血糖値の乱れが体調に影響している場合があります。
朝食は、その後の血糖値にも影響します
朝食が大切なのは、朝の血糖値だけの問題ではありません。
食事による血糖値の変化は、その食事だけで完結するわけではなく、前に食べた食事の内容が、次の食事を摂った時の血糖値の上がり方に影響することがあります。
こうした現象は「セカンドミール効果」と呼ばれています。
朝食でタンパク質をしっかり摂ることで、朝食後の血糖値の急激な上昇を抑えやすくなるだけでなく、その後の食欲や昼食後の血糖値にもよい影響を与える可能性があります。
つまり朝食は、単に「朝の空腹を満たすための食事」ではありません。
一日の血糖値を安定させるためのスタートとしても、とても大切な食事なのです。
勿論、「朝にタンパク質を摂りさえすれば、、その後の食事は気にしなくていい」ということではありません。昼食や夕食の内容、空腹時の甘い物の摂取なども血糖値に影響します。
しかしながら、一日のスタートである朝食にタンパク質をしっかり摂取することは、一日の血糖値を安定させる上で、重要な要素となります。
「朝食を食べれば何でもよい」わけではありません
朝食を食べていても、その内容が
「パンとコーヒーだけ」
「おにぎりだけ」
「甘いシリアルだけ」
といったように糖質中心になっていると、低血糖対策としては十分とはいえません。
空腹の状態で糖質を中心に摂ると、血糖値が急激に上昇し、それを下げるためにインスリンが多く分泌されます。
その結果、人によっては血糖値が下がり過ぎたり、その後の血糖値が不安定になったりすることがあります。
「朝食を食べたのに、しばらくすると眠くなる」
「午前中にもう甘い物が欲しくなる」
という場合には、朝食を食べているかどうかだけでなく、何を食べているかにも目を向けてみましょう。
朝食では「タンパク質」を意識しましょう
低血糖対策として、朝食で特に意識していただきたいのがタンパク質です。
例えば、
- 卵
- 魚
- 肉
- 納豆
- 豆腐
などです。
毎朝たくさん食べる必要はありません。
まずは普段の朝食に、
「パンだけだったところに卵を加える」
「ご飯と味噌汁にしらすを加える」
といったところからでも構いません。
糖質だけに偏らず、タンパク質を組み合わせることがポイントです。
タンパク質は筋肉や皮膚だけでなく、酵素やホルモンなど、体を正常に働かせるために必要な材料にもなります。
低血糖対策というと「糖質を減らすこと」に目が向きがちですが、当院では、必要な栄養をきちんと摂れる体をつくっていくことも大切だと考えています。
朝食は「糖質を抜く」のではなく、バランスを考える
ここで注意していただきたいのは、
「低血糖が心配だから、朝食では糖質を食べない方がよい」
ということではありません。
ご飯などの糖質も、私たちの体にとって大切なエネルギー源です。
大切なのは、
糖質だけで済ませないこと。
例えば、
ご飯+味噌汁+卵
ご飯+味噌汁+しらす
ご飯+焼き魚
など、糖質と一緒にタンパク質を摂ることを意識してみてください。
さらに、野菜や海藻類などを組み合わせられれば、ビタミンやミネラル、食物繊維も摂ることができます。
毎朝完璧な朝食を目指す必要はありません。
まずは、「朝食にタンパク質が入っているかな?」と確認するところから始めてみましょう。
朝の光を浴びることも大切です
朝食とあわせて意識したいのが、朝の光を浴びることです。
朝の光は体内時計を整え、睡眠と覚醒のリズムをつくるためにも大切です。
また、日光を浴びることはビタミンDとも関係しています。
ビタミンDは骨の健康だけでなく、筋肉や免疫などさまざまな働きに関係しており、糖代謝との関連についても研究されています。
ビタミンDを摂ればすぐに低血糖が改善する、という単純なものではありませんが、朝の光を浴びるとともに、朝食に卵、魚、きのこ類などビタミンDを含む食品を摂取することは、
健康な体づくりの一つとして意識してみるとよいでしょう。
でも、朝食を食べたくても食べられない人もいます
ここまで読むと、
「朝食が大切なのは分かったけれど、朝は胃が重くて食べられない」
という方もいらっしゃると思います。
実際、胃腸の働きが弱っている方に、いきなり
「朝から卵も魚も肉もしっかり食べましょう」
と言っても難しいですよね。
むしろ無理に食べることで、胃もたれや食欲低下につながってしまうこともあります。
大切なのは、その人の消化できる量に合わせて始めることです。
では、
「朝は食欲がない」
「タンパク質を食べると胃が重くなる」
という方は、どのように朝食を改善していけばよいのでしょうか。
次回は、胃が弱く朝食を食べられない方のための朝食の始め方について、具体的にお話しします。
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