腸内環境を乱す原因とは?食事・ストレス・睡眠との関係


前回は、

腸内環境は、お腹だけでなく全身の健康と深く関係している

というお話をしました。


では、そもそも腸内環境は、なぜ乱れてしまうのでしょうか?


「腸内環境」というと
「ヨーグルトを食べた方がいい」
「食物繊維を摂った方がいい」

など、「何を食べれば腸に良いのか?」という話に目が向きがちです。



もちろん、食事はとても大切です。

しかし実際には、腸内環境に影響するのは食べ物だけではありません。


ストレス、睡眠不足、運動不足、食べ方、胃腸の消化状態など、毎日の生活習慣も腸と深く関係しています。


今回は
「腸に何を入れるか」ではなく、「なぜ腸内環境が乱れるのか」

という視点から、腸と毎日の生活との関係を見ていきましょう。



腸内環境は一つの原因だけで乱れるわけではありません

腸内環境が乱れる原因は、人によって違います。

また、
「これを食べたから腸内環境が悪くなった」

というように、一つの原因だけで説明できないことも少なくありません。



例えば

  • 食生活の偏り
  • 食物繊維の不足
  • 睡眠不足
  • 慢性的なストレス
  • 運動不足
  • 胃腸の消化機能の低下
  • 加齢
  • 抗菌薬など薬の影響

など、さまざまな要因が腸内細菌や腸の働きに影響します。


そして、これらはいくつも重なっていることがあります。

つまり

腸内環境を整えるためには、「腸に良いものを一つ加える」だけではなく、毎日の生活全体を見ることが大切なのです。


① 食生活の偏りは腸内環境にも影響します

腸内細菌は、私たちが食べたものの影響を受けています。

特に大切なのが、食事の多様性です。


毎日同じような食品ばかり食べていたり、野菜・海藻・きのこ・豆類などが少なかったりすると、腸内細菌が利用できる成分も偏りやすくなります。

反対に、さまざまな食品を食べることで、腸内細菌にもいろいろな栄養源が届きます。


その中でも特に重要なのが、

食物繊維です。


食物繊維の中には腸内細菌のエサとなり、腸内細菌によって発酵されるものがあります。


その過程でつくられる代表的な物質が、

短鎖脂肪酸です。



短鎖脂肪酸は、大腸の細胞のエネルギー源になったり、腸内環境を保つ働きに関係したりしています。


そのため、食物繊維が極端に少ない食生活が続けば、腸内細菌の活動にも影響する可能性があります。


ただし、

「食物繊維は多ければ多いほどよい」わけではありません。

人によっては食物繊維を増やすことで、お腹の張りやガスが強くなることもあります。

この点については今後、食物繊維について取り上げる回で詳しくお話しします。



② 加工食品や偏った食生活にも注意

忙しい生活が続くと

パンや麺類だけ
菓子パンだけ

といった食事になることもあると思います。


もちろん、こうした食品を食べてはいけないということではありません。



問題なのは、そればかりに偏ってしまうことです。


食事が偏れば

食物繊維だけでなく
タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、腸や全身の健康を支える栄養素も不足しやすくなります。


また、加工度の高い食品を中心とした食生活と腸内細菌との関係についても、さまざまな研究が行われています。


大切なのは、

「これは腸に悪いから絶対に食べない」と考えることではなく、普段の食生活全体のバランスを見ることです。

これは、これまで健康コラムでお話ししてきた「新型栄養失調」ともつながる部分です。


③ 「何を食べるか」だけでなく「きちんと消化できているか」

ここは、私がとても大切だと考えているところです。


腸内環境を考える時、

「腸に何を入れるか」

ばかりに注目しがちですが、その前には胃での消化があります。



食べ物は、

口で噛む
↓
胃で消化する
↓
小腸でさらに消化し、栄養を吸収する
↓
大腸へ送られる

という流れで処理されていきます。


つまり、腸だけが単独で働いているわけではありません。



例えば

  • あまり噛まずに食べる
  • 早食いをする
  • 一度に食べすぎる
  • 胃腸が弱っているのに無理にたくさん食べる

といったことが続けば、消化器全体への負担も大きくなります。


以前の「新型栄養失調シリーズ」では、胃酸の大切な働きについてもお話ししました。


胃できちんと消化して、その先の腸へ送る。


この流れも、腸の状態を考えるうえで大切なのです。


だからこそ
腸内環境を整える=腸だけを考える

ではありません。


口から胃、腸まで含めた消化の流れ全体を見る必要があります。



④ ストレスが続くと、お腹の調子が悪くなるのはなぜ?

「緊張するとお腹が痛くなる」

「仕事が忙しくなると便秘になる」

「ストレスが続くと下痢をする」

そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。


これは偶然ではありません。



前回お話ししたように、腸と脳は「腸脳相関」によって互いに影響し合っています。


ストレスを感じると、自律神経やホルモンなどを介して消化管の動きや分泌、感覚などにも影響が及びます。


本来、食べ物を消化する時には、

体がある程度リラックスして、消化に適した状態になっていること

も大切です。



ところが

・仕事をしながら急いで食べる

・スマートフォンを見ながら流し込む

・イライラしたまま食事をする

・常に時間に追われている

このような状態が続くと、食事内容だけを改善しても、胃腸の調子がなかなか整わないことがあります。


だからこそ

「何を食べるか」と同じくらい、「どんな状態で食べるか」も大切なのです。


⑤ 睡眠不足も腸内環境と無関係ではありません

健康を考える時、睡眠は欠かすことのできない要素です。

そして、腸について考える時にも睡眠は大切です。


睡眠と腸内細菌の関係については研究が進められており、睡眠不足や睡眠リズムの乱れと腸内細菌叢との関連も報告されています。


ただし、

「睡眠不足になると必ず腸内環境が悪くなる」

と単純に言い切れるものではありません。


睡眠、食事、ストレス、生活リズムなどは互いに影響し合っているためです。



たとえば

睡眠不足
↓
疲れて食事が乱れる
↓
甘い物や簡単な食事が増える
↓
運動量も減る

ということもあるでしょう。


逆に、お腹の張りや腹痛などによって眠りが浅くなることもあります。


つまり

睡眠と腸も一方通行の関係ではない

ということです。


⑥ 夜更かしや不規則な生活も腸と関係します

私たちの体には、

体内時計(概日リズム)

があります。



睡眠と覚醒だけでなく、ホルモン分泌や代謝、消化管の働きなどにも一日のリズムがあります。


そのため、

寝る時間や起きる時間が毎日大きく違う、

夜遅い時間にたくさん食べる、

昼夜逆転に近い生活をする、

といった生活が続けば、体のリズムも乱れやすくなります。



健康のためには、

「何時間眠ったか」

だけではなく、

できる範囲で生活のリズムを整えること

も大切です。


これは低血糖・実践編でお話しした、朝の光や朝食、睡眠の話ともつながっています。


⑦ 運動不足も腸内環境に関係します

意外に思われるかもしれませんが、運動も腸と関係しています。


適度に体を動かすことは、腸の動きや便通だけでなく、腸内細菌叢との関連についても研究されています。


反対に、長時間座りっぱなしでほとんど体を動かさない生活では、便秘になりやすい方もいます。


だからといって、

「腸内環境を整えるために激しい運動をしなければならない」

ということではありません。


ウォーキングなど、無理なく体を動かすことからで十分です。


腸の健康も、食事だけではなく体全体の活動とつながっている
と考えてください。


⑧ 抗菌薬など薬の影響を受けることもあります

腸内細菌について考えるうえで、薬の影響も無視できません。

特に抗菌薬(抗生物質)は、病気の治療に必要なこともありますが、病原菌だけを狙って作用するとは限らないため、腸内細菌叢にも変化を与えることがあります。


もちろん、

「腸内環境に影響するから抗菌薬を使わない方がよい」

という意味ではありません。

ここで知っておいていただきたいのは、

腸内環境は食生活だけで決まっているわけではない

ということです。



腸内環境を整えるために、まず生活全体を見てみましょう

ここまで読んで、

「結局、何を食べればいいの?」

と思った方もいるかもしれません。


食物繊維、発酵食品、オリゴ糖など、腸内環境を考えるうえで大切な食品や栄養については、このシリーズでこれから詳しくお話ししていきます。


ただ、その前に知っていただきたいのです。


腸内環境は、

一つの食品だけでつくられているわけではありません。


毎日の食事。

食べ方。

睡眠。

ストレス。

運動。

そして胃腸の消化状態。


こうしたものが重なり合っています。



ですから
「腸活のために○○を毎日食べる」

ということだけではなく、


自分の生活の中に、腸に負担をかけているものはないだろうか?

と一度振り返ってみてください。



「足し算」だけではなく「引き算」も大切です

健康について考えると、私たちはつい、

「何を食べればいい?」

「何を摂ればいい?」

「何を始めればいい?」

と考えます。


もちろん、それも大切です。



しかし、体を整えるためには、

何かを足すことだけでなく、負担になっているものを減らすこと

も大切です。



睡眠不足が続いているなら、まず眠る。

食べすぎて胃腸が疲れているなら、無理に「腸に良い食品」を増やさない。

忙しくて急いで食べているなら、少しゆっくり噛んでみる。

ストレスで体が緊張し続けているなら、休む時間をつくる。

こうした一見当たり前のことも、腸の健康を支える大切な土台になります。



腸内環境を整えることも、特別な健康法を始めることではなく、まず毎日の生活を整えることから始まります。



次に読みたい健康コラム

腸のために“減らす”ことも大切?小麦・乳製品との付き合い方


腸内環境を整えるというと

「食物繊維を摂ろう」
「発酵食品を食べよう」

など、体に良いものを「足す」ことに目が向きがちです。


しかし、人によっては、普段何気なく食べているものが、お腹の張りやガス、下痢などの不調に関係していることもあります。


次回は、小麦や乳製品がなぜ人によって腸の負担になることがあるのかを見ていきます。


小麦ではグルテンだけでなくフルクタン、乳製品では乳糖やカゼインなど、それぞれを分けて考えることも大切です。

「小麦や乳製品は体に悪いからやめる」という話ではなく、

自分の体に合っているかどうかを考える

という視点からお話しします。



腸内環境シリーズ


第1回 腸内環境が悪いとどうなる?腸と全身の健康の関係

腸内環境とは何か、そして腸が栄養・免疫・自律神経など全身の健康とどのように関係しているのかをお話しします。



第2回 腸内環境を乱す原因とは?食事・ストレス・睡眠との関係(この記事)

食生活だけでなく、ストレスや睡眠、生活リズム、運動などが腸内環境とどのように関係しているのかをお話しします。



第3回 腸のために“減らす”ことも大切?小麦・乳製品との付き合い方

腸内環境を整えるためには、良いものを「足す」だけでなく、人によっては負担になっている食品を見直すことも大切です。小麦や乳製品について、グルテン・フルクタン・乳糖・カゼインなどの違いにも触れながら、自分の体に合っているかを考えていきます。

※このシリーズでは今後、食物繊維・発酵食品・オリゴ糖、SIBO、FODMAP、グルテン・小麦、乳製品などについても順番に取り上げていきます。



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ストレスや睡眠不足などによる自律神経の乱れは、腸の働きだけでなく、首や肩の筋肉の緊張にも関係することがあります。

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睡眠不足やストレス、食生活の乱れなどが重なることで、繰り返す頭痛につながることもあります。

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執筆・監修

さわやか整体院 院長 加藤敏之

日々、慢性的な肩こり・腰痛・頭痛・自律神経の乱れなどでお悩みの方の施術にあたっています。

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