腸内環境が悪いとどうなる?腸と全身の健康の関係

「腸内環境を整えることが大切」

最近では、テレビやインターネットなどでもよく聞く言葉になりました。


便秘や下痢、お腹の張りなどがあると、
「腸内環境が悪いのかな?」

と思う方も多いかもしれません。


もちろん、腸内環境が乱れることで、お腹の不調が起こることはあります。

しかし実は、腸の状態は「お腹だけ」の問題ではありません。


疲れやすさ、免疫、自律神経、睡眠、気分、栄養状態など、私たちの全身の健康と深く関係しています。


これまで健康コラムでは、栄養や低血糖についてお話ししてきました。


しかし、どれだけ体に良いものを食べても、その栄養を消化・吸収する腸の状態が整っていなければ、十分に生かすことができません。


そこで今回から、
「腸内環境シリーズ」

として、腸と健康について少しずつお話ししていきたいと思います。


今回はまず、
なぜ腸内環境が全身の健康に関係するのか?

その基本から見ていきましょう。


そもそも「腸内環境」とは?

私たちの腸の中には、非常に多くの細菌をはじめとした微生物が存在しています。

これらをまとめて「腸内細菌叢(腸内フローラ)」と呼びます。


腸内細菌は、ただ腸の中に住んでいるだけではありません。

食べ物の成分を利用してさまざまな物質をつくり、腸の粘膜や免疫、代謝などにも関わっています。



つまり腸内環境とは、
「善玉菌が多いか、悪玉菌が多いか」だけで決まる単純なものではありません。


腸内細菌の種類やバランス、腸の粘膜の状態、消化・吸収、腸の動きなど、さまざまな要素が関係しています。



そのため
「ヨーグルトを食べれば腸内環境が良くなる」
「善玉菌を増やせばすべて解決する」

というほど単純ではないのです。



腸の大切な仕事は「便をつくること」だけではありません

腸というと
「食べ物を消化して、便をつくるところ」

というイメージが強いかもしれません。



もちろん、それも大切な役割です。
しかし腸には、それ以外にもさまざまな働きがあります。



例えば

  • 食べ物から栄養を吸収する
  • 水分を吸収する
  • 腸内細菌が食物繊維などを利用して短鎖脂肪酸などをつくる
  • 腸の粘膜によって体の内側と外側を隔てる
  • 免疫機能に関わる
  • 神経やホルモンなどを介して脳と情報をやり取りする

などです。



こうして見ると、腸は単なる「食べ物の通り道」ではないことが分かります。

体に必要なものを取り込み、不要なものや有害なものから体を守る。

その重要な境界線の一つが腸なのです。


腸内環境が乱れると、栄養を摂っていても生かせないことがあります

健康のために
「タンパク質を摂ろう」
「ビタミンやミネラルを摂ろう」

と食事に気をつけている方も多いと思います。


もちろん、何を食べるかはとても大切です。



しかし、ここで忘れてはいけないのが
「食べたもの=そのまま体に使われる栄養」ではない

ということです。



食べ物は胃や腸で消化され、吸収されて、初めて体の中で利用できるようになります。


つまり
何を食べるかだけでなく、きちんと消化・吸収できる状態なのか

ということも大切なのです。



以前の「新型栄養失調シリーズ」で胃酸についてお話ししたのも、このためです。

そして、その先にあるのが腸です。


せっかく栄養を意識していても、胃腸の状態が悪ければ、その栄養を十分に生かせない場合があります。


「食事には気をつけているのに、なかなか元気にならない」

という方は、摂る栄養だけでなく、消化・吸収する側の状態にも目を向ける必要があります。




腸は免疫とも深く関係しています

腸は食べ物だけでなく、外から入ってくるさまざまなものと接する場所です。


そのため腸には、外から入ってきたものに対して

「これは大丈夫なのか」
「これは体を守るために反応した方がよいのか」

を判断するための免疫システムが備わっています。



腸内細菌と免疫は互いに影響し合いながら、体のバランスを保っています。


そのため腸内環境の乱れは、単に便秘や下痢だけの問題ではなく、免疫の働きや炎症反応とも関係していることが分かってきています。


ただし
「腸内環境を整えれば病気にならない」
「腸が悪いから免疫力が低い」

と単純に言えるわけではありません。


人の免疫には、睡眠、栄養、ストレス、運動、年齢など多くの要素が関係しています。


腸は、その中の大切な一つと考えるとよいでしょう。


「腸脳相関」―腸と脳はお互いに影響しています

もう一つ、腸について知っておいていただきたいのが
「腸脳相関」
です。


これは簡単にいうと
腸と脳がお互いに情報をやり取りし、影響し合っている

ということです。



例えば
緊張するとお腹が痛くなったり、

ストレスが続くと便秘や下痢になったりした経験はありませんか?


これは「脳から腸」への影響の分かりやすい例です。


しかし現在では反対に、腸から脳への情報伝達もあることが分かっています。



腸と脳は、神経だけでなく、免疫やホルモン、腸内細菌がつくる代謝物など、さまざまな経路を通じて情報をやり取りしています。


つまり、

ストレスが腸に影響することもあれば、腸の状態が全身の状態と関係することもある。

腸と脳は一方通行ではないということですね。




腸内環境が乱れると、こんな不調と関係することも

腸内環境が乱れている時に起こりやすいものとして、まず思い浮かぶのは、

  • 便秘
  • 下痢
  • お腹の張り
  • ガスが多い
  • 腹痛
  • 食後の不快感

など、お腹そのものの症状でしょう。



しかし、腸は栄養の吸収、免疫、代謝、神経系などとも関係しているため、

腸の状態と全身の健康との関連についても多くの研究が行われています。



そのため
「お腹には特に症状がないから、腸は大丈夫」

とは限りません。



一方で、疲労感や頭痛、肩こり、不眠などがあるからといって、

「原因は腸内環境です」と決めつけることもできません。



体調不良にはさまざまな原因が重なっていることが多いためです。

「腸も全身の健康を支えている大切な土台の一つ」と捉えると丁度良いですね。



「腸に良いもの」を食べればよいわけではありません

腸内環境を整えようと思うと
「発酵食品をたくさん食べよう」
「食物繊維を増やそう」
「ヨーグルトを毎日食べよう」

と考える方も多いと思います。


もちろん、これらが役立つ場合もあります。



しかし、ここには少し注意が必要です。

人によっては、

一般的に「腸に良い」といわれている食品を増やすことで、かえってお腹が張ったり、ガスが増えたりすることがあります。



腸内環境は人によって違いますし、胃腸の状態によって必要な対策も変わります。


特に、

「健康のために食物繊維や発酵食品を増やしているのに、お腹の調子が良くならない」

「玉ねぎやにんにく、小麦などを食べるとお腹が張る」

といった方では、単純に「善玉菌を増やせばよい」という話ではない場合があります。



このあたりは今後

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)やFODMAP、フルクタンなどの話

とも関係してきますので、シリーズの中で詳しくお話ししていきます。


腸内環境は「腸だけ」を見ても整いません

これは、私が整体の仕事をしていても大切だと感じているところです。

体調を整えるためには、

「これだけをやれば大丈夫」

というものは、なかなかありません。


腸内環境も同じです。


食事だけでなく、

  • よく噛んで食べる
  • 胃できちんと消化する
  • 睡眠をとる
  • 適度に体を動かす
  • ストレスを溜め込みすぎない
  • 自律神経のバランスを整える
  • 自分の消化能力に合った食べ方をする

といったことも大切です。



これまで健康コラムでお話ししてきた、

栄養・胃酸・低血糖・睡眠・運動・生活習慣。


実はこれらも、それぞれ別々の問題ではありません。

体はすべてつながっています。



だからこそ腸内環境についても、

「腸だけを良くする」のではなく、体全体の状態を整える中で考えていくこと

が大切だと私は考えています。


腸を知ることは、自分の体を知ること

腸内環境というと、
「善玉菌を増やす」
「ヨーグルトを食べる」

といった話になりがちです。


しかし実際には、もっと奥が深いものです。



・食べたものを消化・吸収する
・外から入ってくるものから体を守る
・免疫や代謝に関わる
・脳とも情報をやり取りする

腸は、私たちが思っている以上に全身とつながっています。



これまで低血糖シリーズでは、

「何を食べるか」「どのように食べるか」

についてお話ししてきました。



ここからはもう一歩進んで、

「食べたものを受け取る腸の状態はどうなのか?」

というところにも目を向けていきましょう。



腸内環境について知ることは、

自分の食事や生活習慣、そして体調を見直すきっかけにもなると思います。


このシリーズでは、腸内環境の基本から始まり、食物繊維や発酵食品、SIBO、FODMAP、小麦・グルテン、乳製品などについても、順番に分かりやすくお話ししていきます。




次に読みたい健康コラム


腸内環境を乱す原因とは?食事・ストレス・睡眠との関係

腸内環境は、食べ物だけで決まるものではありません。

次回は、食生活やストレス、睡眠など、毎日の生活の中にある「腸内環境を乱す原因」について詳しくお話しします。



腸内環境シリーズ


第1回 腸内環境が悪いとどうなる?腸と全身の健康の関係(この記事)

腸内環境とは何か、そして腸が栄養・免疫・自律神経など全身の健康とどのように関係しているのかをお話しします。



第2回 腸内環境を乱す原因とは?食事・ストレス・睡眠との関係

腸内環境が乱れる原因を、毎日の食事や生活習慣から見ていきます。

※このシリーズでは今後、食物繊維・発酵食品・オリゴ糖、SIBO、FODMAP、グルテン・小麦、乳製品などについても順番に取り上げていきます。




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