前回は、夜中に何度も目が覚めることと、睡眠中の血糖値との関係についてお話ししました。
寝ている間に血糖値が下がると、体は血糖値を元に戻そうとして、アドレナリンやコルチゾールなどを働かせます。
その結果、
「夜中に何度も目が覚める」
「寝汗をかく」
「朝起きても疲れが取れていない」
といったことにつながる場合があります。
では、夜間の血糖値を安定させるためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
今回は、夕食の内容から夕食後の甘い物、お酒、そして寝る前にできることまで、夜間低血糖対策として実践したいポイントについてお話しします。
夜間低血糖対策も「夜だけ」ではありません
まず大切なのは、
「夜間低血糖だから、寝る前だけ何とかすればいい」
と考えないことです。
これまで低血糖シリーズでお話ししてきたように、血糖値は一日の食生活の影響を受けています。
朝食を抜く。
昼食を簡単に済ませる。
空腹になるまで何も食べない。
お腹が空いたところで甘い物を食べる。
夕食で糖質をたくさん摂る。
このような食生活が続いていれば、一日を通して血糖値が大きく変動しやすくなります。
夜間の血糖値を安定させるためにも、まずは朝から夜まで血糖値を大きく乱さない食生活をつくることが基本です。
そのうえで、夕食から寝るまでの過ごし方を見直してみましょう。
① 夕食を「糖質だけ」にしない
夜間低血糖対策で、まず見直したいのが夕食です。
例えば、
丼物だけ
麺類だけ
パンだけ
といった食事では、どうしても糖質に偏りやすくなります。
糖質を一度にたくさん摂ると、血糖値が急激に上がりやすくなり、それを下げるためにインスリンが分泌されます。
低血糖対策で大切なのは、
「血糖値を上げないこと」ではなく、「急激に上げたり下げたりしないこと」
です。
そのため夕食でも、
肉
魚
卵
大豆製品
などのタンパク質や、野菜・海藻などを組み合わせましょう。
これは朝食や昼食と同じです。
一日を通して、糖質だけに偏らない食事を意識することが大切です。
② 夕食後の甘い物を習慣にしない
「夕食を食べると、なぜか甘い物が欲しくなる」
という方もいらっしゃると思います。
ケーキ、アイス、お菓子、甘い飲み物などは血糖値を上げやすいため、たくさん摂れば、その後の血糖値の変動も大きくなりやすくなります。
特に、
「夜中に血糖値が下がらないように、寝る前に甘い物を食べておこう」
という方法はおすすめできません。
一時的には血糖値が上がっても、その後インスリンが分泌され、再び血糖値が下がる可能性があるからです。
低血糖対策では、単純に糖分を補給するのではなく、
血糖値をできるだけ安定させること
を考えましょう。
③ 夕食から寝るまでの時間が長い方は注意
夕食の時間と寝る時間にも目を向けてみましょう。
例えば、
18時に夕食
↓
24時に就寝
↓
翌朝7時に朝食
であれば、夕食から翌朝まで13時間あります。
健康な方であれば、その間も肝臓などの働きによって血糖値は調節されています。
ですから、夕食から朝食まで時間が空く=低血糖になるというわけではありません。
ただし、
もともと食事量が少ない
日中も食事を抜きがち
夕食を軽く済ませている
空腹時に体調が悪くなりやすい
という方では、夕食から就寝までの長い空腹時間が負担になっている可能性も考えられます。
「何時に夕食を食べたか」だけではなく、一日に何をどのくらい食べているかも一緒に振り返ってみましょう。
④ お酒を飲む方は、飲み方にも注意
夜間の血糖値を考えるうえで、お酒も無視できません。
食事をしていない時間には、肝臓がブドウ糖をつくる「糖新生」などによって血糖値を維持しています。
ところがアルコールを摂取すると、肝臓での糖新生が抑えられます。
だからといって、
「お酒を飲むと必ず低血糖になる」
わけではありません。
健康な方が食事をしながら適量を飲んだだけで、通常はそれだけで低血糖になるわけではありません。
特に注意したいのは、
食事をほとんど摂らずにお酒を飲む
空腹でたくさん飲む
食事量そのものが少ない
といった場合です。
また、お酒を飲むと眠くなるため、
「お酒を飲んだ方がよく眠れる」
と思っている方もいます。
しかし、アルコールは睡眠の質にも影響します。
夜中に何度も目が覚める方で、毎晩お酒を飲む習慣がある場合には、血糖値だけでなく睡眠という面からも、一度飲み方を見直してみてもよいでしょう。
⑤ 寝る前に何か食べた方がいい?
ここまで読むと、
「では、夜間低血糖を防ぐために寝る前に何か食べればいいの?」
と思いますよね。
これは、すべての方に必要なわけではありません。
まず大切なのは、朝食・昼食・夕食を含めた一日の食生活を整えることです。
そのうえで、
夕食から寝るまでの時間が長い
夕食の量が少ない
空腹になると体調が悪くなりやすい
といった方では、少量の補食を考えることもあります。
ただし、寝る前だからといって、
お菓子
菓子パン
ジュース
砂糖の多い飲み物
などを摂るのはおすすめできません。
血糖値を急激に上げ、その後の変動を大きくする可能性があるからです。
寝る前の補食を考える場合も、
「血糖値を一気に上げるもの」ではなく、「少量で体に負担が少ないもの」
を考えることが大切です。
寝る前のみそ汁や「だし」はどうでしょうか?
私はこれまで、夜中に目が覚める方などに、状態を見ながら、
寝る前に少量のみそ汁や、だしを飲んでみる
という方法をお伝えすることがあります。
温かいものなので取り入れやすく、固形物をたくさん食べるより胃への負担も少なく済む方がいます。
また、みそやだしにはアミノ酸なども含まれています。
ただし、ここは誤解しないでいただきたいところです。
「寝る前にみそ汁やだしを飲めば、夜間低血糖を防げる」と医学的に証明されているわけではありません。
また、一般的なだしだけでは糖質やエネルギー量は多くありませんので、血糖値を直接維持するための食品と考えるのも適切ではありません。
あくまでも、
「寝る前に何か少し取り入れた方が体調が良い方にとって、試しやすい選択肢の一つ」
と考えています。
飲んだ方がよく眠れるのか。
夜中に目が覚める回数が変わるのか。
朝の体調がどうなのか。
自分の体の反応を見ながら判断してみてください。
では、寝る前の補食は何がいい?
寝る前に補食をするのであれば、甘い物だけを摂るよりも、血糖値が急激に変動しにくいものを考えます。
例えば、
ナッツを少量
豆腐を少量
みそ汁やスープ
など、少量で取り入れやすいものがあります。
ただし、
「これを食べれば夜間低血糖を防げる」
という食品があるわけではありません。
胃腸が弱い方では、寝る直前に食べることで胃もたれや胸やけにつながることもあります。
そのため、寝る前の補食についても、
「体に良いから全員やる」のではなく、自分の状態に合わせて取り入れる
ことが大切です。
「何を食べるか」だけでなく、自分の反応を見る
低血糖対策というと、
「何を食べればいいですか?」
という質問がどうしても多くなります。
もちろん、食べ物の内容は大切です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、
「自分がそれを食べた時にどうなるか」
を見ることです。
例えば寝る前の補食を試したのであれば、
夜中に目が覚める回数
寝汗
朝の疲労感
朝の空腹感
胃もたれ
などを見てみましょう。
一つの方法を試して体調が良くなる方もいれば、ほとんど変わらない方もいます。
体の状態は一人ひとり違います。
だからこそ、
自分の体の反応を見ながら調整していくこと
が大切です。
夜間低血糖対策のまとめ
夜間の血糖値を安定させるためには、
① 朝から一日を通して食事を整える
② 夕食を糖質だけにしない
③ 夕食後の甘い物を習慣にしない
④ 夕食から就寝までの時間や、一日の食事量を振り返る
⑤ 空腹での多量の飲酒を避ける
⑥ 必要に応じて寝る前の少量の補食を考える
⑦ 自分の体の反応を見ながら調整する
ということがポイントになります。
大切なのは、
「寝る前に○○を食べれば大丈夫」
という一つの方法に頼らないことです。
朝食から夕食まで、一日の食生活を整えたうえで、必要であれば寝る前の対策も加えていきましょう。
低血糖対策は「体の土台づくり」の一つです
ここまで低血糖・実践編では、
朝食の大切さ
朝食を食べられない方の対策
夜間低血糖と睡眠
夕食から寝る前までの対策
についてお話ししてきました。
低血糖対策で大切なのは、何か特別な食品を摂ることではありません。
食事の内容や食べるタイミングを整え、血糖値が大きく乱れにくい状態をつくっていくことです。
そして、それは一日や二日で完成するものではありません。
できることから少しずつ続けていくことが大切です。
さわやか整体院では、慢性的な不調を考える時に、
体のバランス
体の使い方
食事
睡眠
生活習慣
などを含めて、健康な体をつくる「土台」を整えていくことを大切にしています。
低血糖対策も、その土台づくりの一つとして考えてみてください。
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